オリジナルのBL小説置き場。
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花が咲くまで   目次
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彼と彼等とゆーれい 6


彼と彼等とゆーれい 6



場の空気が、見事に凍った。寒々しい雰囲気、ってゆーれいに雰囲気も空気も関係ないはずだけど
居心地サイアク。
ついでにミナミ君の表情も固まってる。すげえ怖いんですけど。
 
『あの、知ってますよ、アレですよね? なんかあの、死んだら成るやつ』

ワタワタと無駄に両手を動かして、空気をかき混ぜてみる。
多少空気変わらないかなと期待して。 変わらなかったけど。

「何?ゆーれい成仏できないって?」
「・・・らしいよ。」
「ふーん、なんで?」
ああ。なんて癒される長閑さなんだろう、新堂君は。
「・・・」
ミナミ君が視線だけを寄越して来る。むちゃくちゃ怖いです。

『あのですねぇ。 以前トイレから出ようと試した事はあったんですけど無理でして。なんか無理なんですよ。 こう、ねばねば〜っとして出れなかったの。で、ですねえ、多分トイレから出れたら、ゆーれいじゃ無くなるんじゃないかな〜、とか思ってたんですけど。
思ってたんですけど。
なんか、出れてもゆーれいのままみたいですし、自分でもどうしたもんやら、困ってるんですよ。』

「ま、たしかにオレだって今死んだらどうやって成仏するのかとか知らないし、困るよな。」
うんうん、と新堂君は一人頷く。

「で?どーすんのよゆーれいは。新堂にくっ憑いてたって成仏はできないよ?」
「あれ?急いで成仏したいの?ゆーれい」
『あれ?って・・・』
お邪魔じゃないんですか?自分

「・・・しんどーう、おまえなぁ」
「え?なんか変な事言った?」
『いや、あの・・・』
「とりあえず!」

ひときわ大きな声をだすミナミ君。
あんまり大きな声を出されると体がビリビリします。ゆーれいなんで。

「こいつ引っぺがさない限り、・・・いろいろしないから!」

いろいろって・・・
「いろいろって・・・・・・え?」
「ったりまえだろうが!俺は見られてるって分かっててそーゆーことは出来ない!」

立ち上がったミナミ君は、新堂くんと自分を等分に見比べた後、呆然とする新堂君を置いてさっさと出て行ってしまった。

「いろいろって、・・・そーゆー事?」
そーゆー事、でしょうね。きっと。
しばらくしてからもらした新堂君の呟きに、聞こえるはずの無い答えを返した。


彼と彼等とゆーれい 5


彼と彼等とゆーれい 5





「今日もあっついなー」
「夏休みだからな。」
ソファ代わりにベットに腰掛けたミナミ君の膝に新堂君が頭を乗っける。
暑いのは気温のせいだけじゃないと思うな。
ゆーれいには気温関係ないけど。

『少しは涼しくなりませんかねー』
試しにぴったりとミナミ君に寄り添ってみる。

「全っ然笑えねー・・・」
「え?何?オレだけ仲間はずれはやめて〜」
「・・・」

あの後、本当に新堂君にとり憑いてしまったらしく、どう頑張っても離れられずに結局新堂君の家で一晩過ごしてしまった。
どうやら、くっついてなくても新堂君の居る空間ならある程度離れられるらしい。
このお宅のトイレに居させてもらおうかと思ったんだけど、新堂君の部屋とじゃ距離がありすぎて無理だった。
トイレじゃないところに居るって変な感じ。

翌日の昼過ぎにやってきたミナミ君は、新堂君の肩越しにいる自分を見た途端、重く長い溜め息をついた。
ゆーれいにも感情あるんでそーゆうことされると、キヅツキます。


「新堂平気?変な事無かった?ゆーれいに何にもされなかった?」

膝の上の新堂君にミナミ君は聞く。 
指先で優しく髪をいじるが、ちらりとこちらを見ると直ぐ止めてしまった。

「別に―?第一姿も見えないし、言葉も聞こえないし。 ミナミ来るまで未だいるのかなー?って思ってたくらいだし」
『夜はできるだけ離れてましたから♪』
ていっても部屋の対角線上の隅に行くのが精一杯だったけど。

「・・・!そうは言ってもやっぱり・・・第一おまえちょっと無神経なんじゃねーの? 平気だ平気だって言うけど、見えなくたってソコに居るんだぞ?ゆーれいだぞ?アレ!」
「やだな、なんとなくそのへんかな〜?ってのは分かるぞ?なあ?」

ひらひらと掌を明後日の方に振る。
そっちには居ませんよ。
「そっちじゃねーよ。」

諦めたような溜め息をこぼしてミナミ君膝から新堂君を転げ落とすと、こちらに向き直る。

「ゆーれい!」
『はい?』
「おまえ、いったい何なの?」
『ゆーれいです。』
「そんなん見れば分かるわ。・・・じゃあ、何でゆーれいやってんの?」
「何でって?」
『何でって?』

ゆーれいやるのに理由なんてあるのかな?普通。
転げ落とされたまま寝転がっていた新堂君も起き上がってくる。

「なっ・・・!大体こう言う場合は、なんか理由があるから成仏しないもんだろう?」
「あぁ!そうだ! なんで成仏しないの?」
『えぇ! 成仏って・・・!』

成仏って・・・!

「大体ほら!怪談とかのパターンだと、この世にウラミがある〜、とか、思い残した事がある〜、とか、後ほら!自分が死んだ事に気がつかない、とか!」
「ああ!あるねあるね! 死ぬに死にきれない〜ってやつだよな。」
「ゆーれい、どうなのよ、ソコンとこ!」


盛り上がっている二人には申し訳ないと思いつつ、ゆっくり口を開いた。

『あの、、、成仏って、何ですか・・・・?』


彼と彼等とゆーれい 4


彼と彼等とゆーれい 4



新堂君の肩から首に腕をまわすようにしてしがみついてみる。
以前試した時には、ねばねばした「何か」に引っ張られて外に踏み出す事も出来なかった
のが嘘のようにらくらくと外に出れた。
あ・ゆーれいだけど足あります。
自分では見えてるけど、人に見えてるかどうかわ分からないけど。

振り返ると、どれだけの時間ソコに留まっていたのかはわからないけれど、
今までずっと中にいた、トイレの入り口があった。
その外側には、自動改札と、各ホームに繋がるエスカレーター。
トイレに出入りする人数と比べると、驚くほど人が多く、綺麗な駅。
よく知ってるようで、何かが違うような景色。

「改札、出ていいのかな?」
『・・・さぁ?』
「まあ、改札ココしかないし、いいんじゃねーの?」
と、軽く言い放ち先をすすむ新堂君。
しがみついたままくっついていく自分。
不安げな顔で続くミナミ君。

でも、そういえば。
トイレから出て、その後どうすればいいんだろう?

改札を抜け、やっぱり意外なほど広いバスロータリーを抜け、道路を渡ったところのコンビニまで来てやっと新堂君は立ち止まった。

「・・・ゆーれい、付いてきてるよな?」
「うん。いる。・・・新堂、大丈夫?」
「何が?」
「体調とか、寒気したり頭痛したり、しない?」
『あの、悪さするつもりはありませんから・・・』


さっきっからきょろきょろと見回して見てるんだけど、
やっぱり知ってるようで、知らない景色。
こんなところにコンビニあったっけ?

「・・・」
「・・・」
『・・・』

とりあえずトイレからは出れたんだから、アチコチうろうろしてみようかな。

「・・・ゆーれい、なにジタバタしてんの?」
『いえ、あの・・・・』
じたばたっていうか・・・
ああ!なんだか怪訝なミナミ君の視線が痛い!

『・・・あのぉ』

ジタバタしても、どうやら無理なものは無理みたいで、諦めてミナミ君に話し掛ける。
多分、怒られる気がするんだけど、仕方ない。

「何?」
『なんか、・・・・・・離れられないん、ですけどぉ』
「!!!!?!」
「?何て言ってるの?」
『これって・・・』
「まさか・・・」

信号が、青から赤に変わり、
駅前からは二台バスが流れて行き、
ミナミ君は悲壮感の滲む声を絞り出した。

「・・・憑いちゃった?」

「あ、そうなの? オレは別に平気だけど?」



彼と彼等とゆーれい 3


彼と彼等とゆーれい 3



「どうも、新堂です。いつもお邪魔してます。」
ゆーれいがいる、とミナミくんの説明をあっさりと納得した新堂君はあさっての方向に挨拶をしている。
お邪魔してます、ってなんか違う気もするけど。

「そっちじゃない。こっち。」
「え?マジ?」
狭い個室の中ぐるぐると方向転換をする二人。
いくらゆーれいに実態が無いって言ったって狭い。
仕方ないので、個室の間仕切りの上にまでふゆふゆと移動すると、二人分の視線が追ってくる。
「なんか・・・いま白いものが・・・」
「うん。ソレ。」

ごくり、とどちらかの喉が鳴った。

『あの、自分ココにいつもいるんで、ココで、その、そーゆーことされると、
あの、どーしても・・・』

「あ・そう言う事か。覗きじゃなかったのか」
新堂君に通訳しつつミナミくんが言う。
『覗こうと思ってたわけじゃないんですけど・・・』
「出れないの?」

唐突で単純で明快な質問。
新堂君ってちょっと調子狂うかも。

「・・・」
『・・・』
第一、出れるもんならとっくに出てるわ。


『あーー、出れないみたい、です。」
「・・・出れない見たいだって。」
「じゃ、ついてくる?」
「は?」
『は?』
「何ソレ?」

何ですかソレ?
あ・この調子じゃ通訳要らないかも。
「さすがにトイレじゃ辛くね?成仏もできないんじゃねーの?」
「・・・」
『・・・』
・・・成仏?
「?だって可哀想じゃん。」

・・・ちょっとこの人変わってるんじゃないかな?
多分。ゆーれいだからはっきりとした事わかんないけど、多分。


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